その愛想笑いやめろ

サンピリ演出の元一のブログです。
適当に書いています。
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演劇大学2015Bチーム「インナージャーニー」WEBパンフ
  いつも通り、反省や報告も踏まえて作品について書きます。

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【応募動機】
・テーマが「語りだす沈黙」となっていて、どうしても演出で多様してしまう沈黙(くっそ便利)について改めて見つめたかった。
・最後の演劇大学と聞いて。成長が停滞していたので、誰かと相談しながら創作したかった。

【作品モチーフ】
・通知と共に新たに「小泉八雲」というテーマが追加される。
・八雲はろくろ首や雪女など、数々の怪談話で有名。
・けれど、怪談は再話ものが多く完全なオリジナルかどうかの判断がつかなかった。また、八雲の作品はほぼ英語で国外向けに書かれたものであり、これには日本語の翻訳者についての考察もいくらか必要であった。それを初対面の参加者と3泊4日で読解・解釈を行うのは難しいと判断した。
・一方で、八雲が世界各国を渡った人間であり、紀行文でも有名であった。個人的にも旅が大好きだったこともあり、「旅」にフォーカスした作品制作を行うことにした。
・また、石田Aチームと山下Cチームはテキストを用いるということだったので、テキストを事前に準備せず参加者と一緒に立ち上げていく手法をとる事にした。

【準備】
・今回は合宿自体を作品としたかったので、合宿中の創作イメージをよく練った。
(「合宿の進行台本」の製作)
・アドバイザーの和田さんと一度電話でやり取りを行い、「感情に浸る小さな演劇」からの脱却と「観客にわかりやすい街頭向けの演劇づくり」を目標とした。
・最終的な作品イメージとしては「日本人だけど日本人じゃない」旅人(=現代に取り残された少数民族)が公園で一泊すると夢を見るというものだった。これは、安芸之助の夢や八雲が多用する劇中劇をイメージした。

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【合宿一日目】
・進行は基本的にワークショップ形式で行った。
・ゲームというよりは「とにかく色々と話して」「自分の経験や感覚を掘り起こすこと」と、「それを3人で共有すること」に徹した。全てが街頭作品の基盤となる。

【合宿二日目】
・和田さんの提案で野外での稽古を一日早めたことで、面白い導入の仕方が決まった。
・「あー」といいながら、倒れるやつで、子供たちが喜んでくれたので盛り上がる。
・3人の経験をそれぞれ一つずつ立ち上げる。ドッヂ、シブヤドコデスカ?
・しかし、進行具合に難があった為、夜の自由時間を利用して経験を語らう機会をつくる

【合宿三日目】
・午前中をつかって冒頭の続きを創作(その後、本番直前に全ボツ)
・西覚(高校生)に全力一人芝居をしてもらう。行進のシーンになる。
・ここで、作品を通して「現代日本の教育」について問う作品といった筋ができる。
・ついでに、「戦争」についても触れることを決める。
・スタッフに見せる通しのため公園に出て、旅人たちが宿泊のためにつくるバリケード(縄張り)のセッティングをする。(その後、本番直前に全ボツ)
・創作に追いつけない俳優がいた為、整理の時間を設ける。
・最後まで、なんとかつくる。夜の自由時間も使って。(その後、本番直前に全ボツ)

【本番当日】
・久しぶりに覚えてないぐらいたくさんの変更をする。通し無しのぶっつけ。本当にごめんなさーい。
→客席の位置を二度変更。本番は観客席と舞台側を逆転させた。
→イメージと合わなかった和田さんの提案を変更する。
→モタついたシーンを全部カット。シンプルに。
→サイレンの音源がイメージと違った為、当初の予定通り肉声で。
→ラストシーンを俳優の即興にして託す。
・俳優の納得しないシーンについての話し合い

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【インナージャーニー 最終イメージ】

たびたび訪れる
日本人なのに日本人じゃない感覚に耐え切れず
なぜ旅を続けているかすらわからない程の途方もない“昼”を経たその場所で
彼らは同胞である、本当の日本と日本人を見つけた。

消え失せた感情と記憶が次々に沸き返り、
ふと祖国で教わった行進に昔を懐かしんでいた。
「僕は選んでいるようで選んでいない」
聞こえてくる声、意味はわからず。

鳴り響くサイレン。警告と戦いの合図。
遊びだったはずのドッヂボールは、いつしか痛みを伴う冷たい鉛になっていく。

我を忘れて笑うたび、我を笑われ忘れ去る。
我を忘れて笑うたび、我を笑われ忘れ去る。

起きてみると、すべては消えていた。
今旅しているのは、
肉体を捨てた本当の自分なんだろうか。
本当の自分を捨てた肉体なんだろうか。

風が吹くと、彼らはまた当ても無い旅を始めた。
日本の土地に、日本じゃない場所を求めて。

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【全パフォーマンス ルーツとなった感覚】
今回は基本的に俳優の経験や感覚を頼りに創作を行った為、
小泉八雲や作品コンセプトによる改変や再構成は行ったものの、
すべてのアクションや演技プランのベースに各々の経験が隠されている。

・「あー」と叫びながら倒れる
→当初からあった演出プラン。幾日の昼を経た旅。
→ワンタッチオブジェをしながらの登場がつまらなかったので思いつく。

・日本の発見
→かおりさんが経験した、地下鉄西新-天神間の白昼夢。
かおりさんが経験した、大久保のコリアンタウン。東京は自由だ、と思った。

・「スイマセン、シブヤドコデスカ」「ワタシハ、ニホンジンデス」
かおりさんが経験した、散歩中にいた外国人風のイケメン。日本人なのにカタコト。

・客いじり
→サイカツが経験した、壮絶な美人との遭遇。見る為に近づいたとのこと。

・行進についての演説。
→サイカツ(西覚)が経験した、高校の思い出。行進が何故か好きだった。
→和田さんの演出で『なんでこんなことやっているんだ、おかしい』という要素を入れる。

・「僕たちは選んでいるようで選んでいない」
かおりさんの住んでいるシェアハウスのオーナーの孫(5歳)を見つめて思ったこと。
→国籍や生き方を自由に選べる(未来のある)その子を見て、いいなと思った。

・「全体止まれ!」、甲子園のサイレン
→演出。
→教育と闘争(戦争)を結びつける記号。
→小泉八雲は「心」などで、日清戦争の勝利に沸き返る日本を批判・危惧していた。
→冷静公園には、戦災記念碑が立てられている。

・ドッヂボール
→サイカツの経験。小三なのに中学の勉強をしていた意識高い系三田くんをドッヂに誘う
→激しくなっていく様子は演出。遊びの勝負から人を蹴落としていく競争社会を捩った
→このときのようこさんの役割は、傍観する「先生」という設定。

・笑い合う
→ようこさんが経験した、雷のときにきゃーって言って騒いだときの記憶。
→かおりさんが経験した、漫☆画太郎読んで爆笑したときの感覚。

・「おいっ」
→かおりさんが経験した、公演の本番中にお菓子を漁る先輩にかけた言葉。

・終わらない静寂
かおりさんが経験した、
→ようこさんが経験した、
→サイカツが経験した、
→時間無制限の、ぶっつけ本番のアドリブ。

・やがて一緒に寝る。
→ようこさんが経験した、ダンサーにハグしてもらって「木だな」って思った感覚。

・起きて、また旅を続ける。
→ようこさんの経験した、
→安芸之助の夢。

※なお、旅人目線だと、観客席側には花畑が広がっていた。
→“観客にはわからない。”

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【反省】
・体調壊してたけど、頑張った。入院手前で、死ぬかと思った。

・演劇大学の創作環境は一長一短であったけど、充実していた。想定外の事態にも何とか対応できたし、和田さんをはじめ、演出家スタッフのみなさんがいたおかげで生まれたアイディアもあって、非常に良かった。

・メンバーともじっくり話せて良かった。三位一体の作品になったと思う。ミスはあったけど、みんな同じイメージを持って一つの呼吸で動いていた。最後まで変えまくったおかげでストレスはあったと思うけど、信じて最後まで付いてきてくれて嬉しかったし相応の世界観の作品ができた。

・和田さんに引っ張って頂いたことで生まれた作品コンセプトや演出プランは多かった反面、和田さんの言うレベルの範囲に作品を引っ張り上げることができなかった。自分の創作スタイルや作品の世界観を壊すところには今一歩踏み込めなかった。

・本当に当初の狙い通り大きな作品(エネルギーや主張に溢れた作品。観客を動かすような笑いを入れた作品)にするならば、スタートの要求をジャンプして単刀直入に作品づくりへと向かうべきだった。回りくどいし、覚えたことを実践するといったような作品に不必要なワークやコミュニケーションが多かった。

・「感情に浸る、小さいエネルギーの作品になる」「観客論のない演劇」の傾向は、感覚の実際をそれ本来の大きさで捉えて表現しようとするから起こりえるものであり、それは本人にとって社会に表出すべき大きな問題であるという視点や表現者独自の強い問題意識が必要。

・中国から来たザンさんとジョニーからの評判が良かったので、超嬉しかった。力をつけて、サンピリも海外に行こうと思う。

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